ゼロサムゲームにおいては、ミニマックス戦略が効果的である。例えば、プレイヤーAとBが対戦するとして、両者には「速攻」「遅行」の2つの戦略が選択できる。その時のお互いの利得は、AとBともに速攻(1、-1)、A速攻・B遅攻(2、-2)、A遅攻・B速攻(-1,1)、AとBともに遅攻(3、-3)であるとすると、Aの戦略を考えてみる。
まず、Aが「速攻」に出ると、Bがどの戦略を選択しても、Aは「速攻」を選択した方が利得は大きい。また、Aが「遅攻」を選択しBが「速攻」を選択すると、Aの利得は-1になるが、もしもBが「遅攻」を選択すると、Aの利得は3になるので、できることならこの組み合わせを望みたいところである。しかし、その時のBの利得は-3で最低になる。
したがって、Bは常に「速攻」を選ぶに違いないはずである。となれば、Aとしては、利得が最大となるかもしれない「遅攻」戦略は諦め、利得は1で少ないが確実なところを押さえるのが無難であるという結論になる。これがミニマックス戦略と呼ばれるものである。いうなれば、ミニマックス戦略は勝つことよりも、負けない方を選択する戦略である。
ゲーム理論では、対戦相手も常に最大の利得獲得を目指していることを念頭におかなければならない。理論的には熟知している積りでも、現実には疎かにされていることも結構多いように思われる。例えば、新規開業を目指しているといった場面でも、競合相手が選択できる戦略を検討することなく、自社の利得が最大になる戦略のみに意識を集中させる。
商圏や市場規模が小さいときには、ゼロサムゲーム的な状況になりやすい。こうした市場競争においては、競合相手から何らかの方法でシェアを奪うと、必ずしっぺ返しにあうことを覚悟しなければならない。その時威力を発揮するのがミニマックス戦略である。すなわち、勝とうとするのではなく、負けない戦略を選択するという安全策が検討される。
サラリーマンの出世競争でも、一番乗りを目指してリスクをとった人よりも、鳴かず飛ばずで過ごした人の方が、いつの間にか出世をしたということはよくあることである。もっとも、それが最善の選択であったかどうかは別の話ではあるが、少なくとも、ミニマックス戦略を熟知したうえで、戦略を選択するという思考様式は身に着けておいて損はない。