ナッシュ均衡

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 ナッシュ均衡を求めることが戦略ゲームの解を求めるということを意味する。つまり、ナッシュ均衡が戦略ゲームの解であるわけであるが、ただし、ナッシュ均衡は支配戦略のように「戦略」という概念ではなく、「戦略の組」に対して定義された概念であるから、一方の意思決定に対して、他方が最適反応する戦略の組み合わせがナッシュ均衡なのである。

 ナッシュ均衡は、他のプレイヤーの戦略を所与とした場合、どのプレイヤーも自分の戦略を変更したとしても、より高い利得を得ることができない戦略の組み合わせである。したがって、ナッシュ均衡の下では、どのプレイヤーも戦略を変更する誘引を持たないことになるから、全員が選ぶ戦略の組み合わせを見極めなければ結果に言及できないのである。

 ナッシュ均衡を求めるには、与えられた利得表の行列を眺め、まず、各プレイヤーの立場で、戦略を考えてみることである。自分以外のすべての戦略(3人以上のゲームの場合は全ての戦略の組み合わせ)1つ1つに対して最適反応戦略(利得を最も高める戦略)を求め、その戦略の利得に下線を引く(最適反応戦略が2つ以上あるときは両方とも採用)。

 相手の戦略すべてに対してそれが終わったら、別のプレイヤーについても同様の作業を繰り返す。すべてのプレイヤーについて、この作業が終わったら、全てのプレイヤーの利得に下線が引かれている戦略の組がナッシュ均衡である。ここでは、すべてのプレイヤーが、最適反応戦略を取り合っていることが確認できるので、戦略の選択肢は整理される。

 しかし、現実には、複数のナッシュ均衡が存在する場合、大きな問題が生じる。ゲームのプレイヤーは、自分の行動と相手の行動をよく考えて、どの戦略の組み合わせが起きるか結果を予測することにある。お互いの予測する結果がナッシュ均衡でなければ、考え抜いて行き着く先とはならない。つまり、お互いに同じ戦略を選択してしまう虞もあり得る。

 それぞれのプレイヤーが自らの予測にしたがって行動すれば、各プレイヤーも自分が予測したナッシュ均衡の戦略を選択すればよいという革新は持てなくなる。すなわち、ゲームの解として予測が成立するためには、「どのナッシュ均衡が選ばれるか」までを理論として確立しなければ意味がないことになる。しかし、この理論を活用する意義は他にもある。