ストリーティングの真価

 ビジネスモデルは、革新的であればあるほど理解が困難である。それは、これまでとは違う方法でものごとを組み合わせ、現状を変えようとしているからなのだが、ビジネスモデルは、本来はロジカルに説明されるべきものではあるとしても、新たな可能性について興味を持たせるためには、聞く人の心を開かせなければ何も始まらないのも事実である。
 馴染みのないモデルに抵抗を感じている人を惹きつけるには、ストリーティングが最適である。優れた物語は聞く人を巻き込むので、ビジネスモデルとその基礎となるロジックについて徹底的に議論をする準備をするためのツールとして最適である。すなわち、見慣れないものへの不信感を一時、留保させることで、ビジネスモデルの説得力に繋げていく。
 どんなに優れたビジネスモデルであっても、マネジメント層のチェックを通過しなければ日の目を見ることはできないであろう。そうした場合、ビジネスモデルのアイディアをマネジメント層へ効果的にプレゼンすることは極めて重要である。マネジメント層は最終的には数字と事実に興味があるが、優れた物語によって、アイディア全体を説明できる。
 投資家や株主になり得る人たちに対してアイディアやビジネスモデルを売り込むというチャンスは中小企業にも増えてきている。投資家や株主が最も興味を持っているのは、どのようにして顧客への価値を生み出し、投資がリターンできるのかである。これをロジカルに説明する前に、物語を語ることでビジネスモデルを紹介するのが理想的な方法である。
 また、新しいビジネスモデルに移行するには、従業員などの協力者を説得する必要もある。こうした場合、伝統的なテキストベースのPowerPointによるプレゼンテーションでは、モデルの真価が伝わりにくい。魅力的な物語ベースのプレゼンテーションを通じて、聞き手と気持ちを通じさせる可能性が格段に高まる。従業員を巻込むためには是非活用したい。
 アイディアやビジネスモデルのような新しいものを具体的に見せるには、言葉で説明するのは確かに難しい面もあるが、とにかく、わかりやすく説得力のあるものでなければならない。物語は、聞く人の心に響きわたり、聞き手にアイディアを伝えることができる。人は、物語に感動すれば、その感動は引き続き説明する「許可」を与えることに繋がる。