現在採用している給与制度が実情に合わなくなってきていることを感じていながら、抜本的な改革に着手できない中小企業は多いようである。特に、かつて、年功序列型の給与制度を採用していた企業が、試行錯誤の末、やっとの思いで導入に踏み切った職能給制度をもてあましながらも、改定することなしに今日に至っている企業は結構多い。
こうした企業の人事考課表を見ると、成果、技術、知識、態度などを並列して評価する方式を採用している。ということは、何をもって成果と評価するのか、成果を上げるためにはどのような能力を養わなければならないのかといった教育・訓練体系が整備されていなければならないわけであるが、例え形式的には整っていたとしても全く機能していない。
すなわち、何をどうすれば成果が上がったと評価されるのかさえ不明であるから、社員は闇雲に売上を上げることのみに努めるが、それも、会社が最終的に目指している目的に沿うものではない。こうした状況の中で、能力開発の必要性を叫び、おざなりの教育・訓練を行っているのであるから、望ましい人材が育つことを期待するのは難しい。
しかし、人材を育成するという立場からすると、企業が求める能力は、課題設定力、職務遂行能力、対人能力、問題解決能力が含まれていることは確かなので、教育・訓練体系もこれに沿ったものが用意されるのが普通である。これらの能力の習得を目指した教育としては、知識の教育、技能教育、態度の教育、創造の教育などが主なものと思われる。
結果を求めている経営側とそれに応えようしている社員との関係は、共通の企業目的とこれを達成するための貢献意欲によって支えられているはずなのに、何時しか労働市場関係によって分断された対立関係という側面が強くなってしまい、協働関係にあることを忘れてしまう。このような関係の中では、能力開発や組織開発も掛け声だけになってしまう。
社員教育は、従業員個人の能力を高めると同時に、組織の一員としての能力開発に主眼が置かれているはずであるから、まず教育ありきではなく、会社の経営理念、目標とするビジョン、そしてこれを達成するための戦略を軸とした組織が確立されていることが、社員教育の原点である。その組織を動かすに相応しい人材を育てるのが教育・訓練である。
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