課題解決のための基本姿勢

 課題解決のために使用する分析手法は、どの手法が優れているということではなく、何のために、何を知りたいかとい局面で適宜用いられてこそ意味がある。したがって、問題や課題の構造がどのようなものかを予め把握しておくことが重要である。そのためには、課題を一つの枠組みとして捉えるフレームワーク思考とそのフレームの工夫が求められる。
 具体的にいうと、解決しようとしている課題が企業内部のものなのか、外部との関係のものなのか、組織のものなのか、経営者の問題なのかなど多岐にわたる。そして、こうした区分に止まらず、課題のレベルについても枠組みとして捉えておく必要があるとすれば、その組み合わせは正に天文学的な数で、焦点をどのように絞り込むか迷ってしまう。
 MECEに整理するということは大切なことであるが、ロジック・ツリーで分析する場合などでも、分けることが難しかった場合などは、その他という分類項目を一つ設けておくことにより、明確に分けられた部分をまず分析の対象とすることで、時間を節約することができる。いずれにしても、枠組みを工夫することは大事なことである。
 課題の枠組みができれば、今度はできるだけ事実を把握する工夫をすることである。これには、まずよく観察をすること、記録しておくこと、調査すること、実験することなどがあげられる。これらの方法は、マーケティング・リサーチ手法の調査枠区組をイメージすれば納得がいく考え方である。これらは論理思考の論拠として活用される。
 さらに、これらの事実をもっと深く解釈するために、現場の意見を直接聞くとか、プレーンストーミング、グループインタビューなどといったソフトアプローチを考え、関係者が持っている情報を引き出す工夫をし、ここから得られたデータや情報を組み合わせ、さらに精度の高い情報に育て上げていくための工夫も欠かせない姿勢である。
 こうした工夫をしてもなお、情報を解釈し仮説を立てるためには、先人の知恵や学説、経験者のアドバスイスなど、異分野での成果などを参考にする工夫は必要である。経営に関する意思決定は、ロジカルであるべきことがセオリーではあるが、扱う対象が人間である以上、心理学的アプローチも併用しなければ、真の解決策に辿りつけないこともある。