倒産兆候の察知

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 人の命ははかないもので、突然死などという事前に予防策を講じることが困難と思われることも起こり得る。しかし、それは、ある兆候を見逃してしまっていたことにより生じてしまったということであると言えなくもない。例えば、我々人間の体は、怪我をすると血が出たり、風邪をひくと熱が出て頭が痛くなったりするなど、何らかのサインを出す。
 企業という法人も、所詮は人間の集まりである以上、危険な状態が生じる前に、何らかの症状が見られるようになってくるはずである。もちろん、一夜にして急変する大震災などもあるので、全く予測もつかないことはあり得るとしても、何らかのサインを見逃してしまったためであるという謙虚さが必要であるという反省は必要である。
 企業によって顕在化する症状は様々であるが、何といっても、人の動きに変化が現れるというのは共通した症状であり、特に大幅な人員整理があったり、経営者が不在がちになったり、幹部社員が突然退社したりといった現象は要注意というべきである。経営不振に陥っていることをひた隠しにしていても、こうした症状は表面に表れでしまう。
 こうした症状が顕在化すると、次には販売不振に伴い工場の閉鎖や支店の縮小などが行われ、取引先への支払条件の変更やサイトの延長といった要請がなされる。この症状をどの程度に受け止め、対処方法を考えるかによって債権保全の可能性が大きく違ってくるのだが、情報収集に遅れをとると取り返しのつかない状態を招くことになる。
 ここまで来ると、遊休資産となっている不動産の売却が考えられる一方、債権者の立場としては、根抵当権の設定や債権譲渡の手続き体制に入ることもあり得るが、経営の合理化策の実現可能性やメイン銀行の対応などにも左右されるので、あまり過激に反応するのは禁物であるとしても、財務内容を確認することは不可欠な要件である。
 企業の信用不安情報は、一つの症状のみで判断することは難しいので、可能な限り複数のルートから入手することが望ましいが、時間的な制約もあるため早急な判断が求められる。そのため、直接あって話を聞くと同時に、取引銀行や主要取引先に照会する方法がとられるが、日頃の付き合いの深さとも関係するので、専門調査機関も活用すべきである。