目標管理制度の運用

 役割主義を追求していくと目標管理という考え方に行きあたる。元々役割とはどのような目標をもっているかということを別の言い方をしたに過ぎないから、別に違和感はないが、人事制度上では必ずしも同じものとして扱われていないようである。というより、役割主義に基づいて編み出された人事制度を管理する制度と捉えた方がよいかもしれない。
 実際に企業の現場で、目標管理制度を導入しようと思うと、目標の設定方式やその重みの評価という点で最初の壁に激突する。というのは、この制度の最大の特徴である、目標設定から管理まで、社員が自主的に行うといことが原則になっているからである。もちろん、そうはいっても、社員がフリーハンドで目標を設定するということではない。
 目標を設定するに当たっては、部下の意思を尊重しながらも、上司が部下に対して期待している範囲以内という大きな制約があるのは当然であるが、上司と部下が話し合い、部下が納得する目標を設定しなければ、この制度を導入する意味がない。その点からすると、役割主義はかなり高圧的であると言えるかもしれない面もある。
 特に、目標管理制度においては、目標を最終的に決定するのは部下なので、達成可能性の高い目標に設定する傾向があるのは否めない。つまり、ここでいう「目標」とは上司と部下が契約によって定めたものであるから、部下が期末において、その目標を達成できなければ債務不履行ということになるので、部下はできるだけ低く目標を設定したがる。
 それと問題点はもう一つ、設定された同僚同士の目標のグレードである。これを解決しておくためには、やはり役割主義という考え方を抜きにすることはできない。具体的には、仕事の役割には事前に値段をつけておかなければ、目標管理制度は機能しないということになる。つまり、これらの関係は表裏一体なものであるということになる。
 役割主義にしても目標管理にしても、目標をどう設定すれば組織の目標達成に寄与できるか、かつ、自分の個人のキャリア形成にも役立つかという真摯な取り組みを前提にしなければ成り立たないことは明らかである。「目標で管理する」のと「目標を管理する」というニアンスの違いだけに着目して制度を比較すると異なったものに見える。