マーケットバスケット分析

 データマイニングでよく利用される用法の代表格で、POSデータやECサイトの取引(トランザクション)データを分析して、「一緒に買われる商品(併売品)」の組み合わせを発見するための分析が、マーケットバスケット分析である。一人の顧客が1回の買い物(取引)で購入するデータがマーケットバスケット・データである。
 これらの取引を週や月単位で集計した取引データベースをソースとしてデータマイニングを行う。GMSやその他の小売業などでは特に有効とされる分析であるが、クレジットカードの履歴や通信系の企業などの利用経歴などにも適用されている。一般的にアソシエーション分析の手法が利用され、結果は[パン、バター]→[ミルク]という形で出力される。
 「紙オムツとビール」がとくに有名であるが、「DIY店でラテックスペンキを購入する人の8割はローラーも同時に購入する」「食料品店でトルティーヤチップスを購入する人の8割は瓶入りのサルサソースを同時に購買する」「株式インデックスファンドをもっている人の4割はポートフォリオに成長型投資信託ファンドを組み合わせている」など。
 これらの分析結果をどのように活用するかは経営者や店舗運営者の考え方に委ねられることになるが、店内レイアウト、棚割、陳列計画、品揃え計画、キャンペーン計画、仕入計画、マーチャンダイジングなどを検討する時の参考になることは確かである。また、DM作戦を展開する場合にも、より効果的かつ効率的な方法が選択できる可能性が高まる。
 こうしたアソシエーション分析の結果をシステムとして活用しているのが、カテゴリーマネジメントである。関連商品や補完商品、併売商品をどのように組み合わせているかによって、顧客の店内買い回り行動のムダも省けることになるので、店舗効率も向上することになるなど、顧客のプロフィールを把握することはCRMの最終目標でもある。
 ただ、マーケットバスケット分析で利用されるアソシエーション分析は、アイテム数が増えると、組み合わせの数も必然的に増加することになるので、あまり活用しにくいことにもなり兼ねない。そこで、一般的には商品ライン別にまとめることで絞り込むことが望ましい。しかし、その分商品間の相関関係の精度は低くなるという欠点がある。