ビジネスモデルの最もシンプルな形は、今でも商取引の基本となっている物販モデルである。ビジネスの主体である商品やサービスを製造し、ユーザーに提供してその対価を受けるというシンプルな形である。このモデルでは商品やサービスが魅力的で、同業者よりも優れていることが成功の第一の条件であると言ってよい。
つまり、商品力がすぐれていることが、価格競争力の源泉にもなっているわけで、金と商品・サービスの流れが単純であっても商売が成り立つというビジネスモデルである。このモデルが機能し続けられる背景は、絶対的な消費者にとって付加価値が高く、業者が設定したか価格を受け入れざるを得ないだけの圧倒的強みが存在している場合である。
しかし、このモデルには大きな欠陥も潜んでいることもある。というのは、消費者の価値観は時間の経過とともに変化するのが通例であり、一度その商品に飽きがくれば求心力はたちまち低下し、同種の商品やサービスでは顧客の回帰を促すのは困難な場合が生じてしまう。また、同業他社の攻勢も激しいものになることも予想しなければならない。
同一の地域を基盤として競争に挑む場合、当然仕入ソースも同一な場合も多くなるため、販売力が低下すると、たちまち仕入価格にも影響が出てくることになる。かくして、価格競争が始まってしまい、顧客の総付加価値は相対的に縮小することになる。このように、物販モデルも常に成長し続けなければモデルは陳腐化してしまう虞がある。
このように一見単純に見える物販モデルであるが、今日でもなお存在し続けているのは、どのようにして日々変化する消費者の心を繋ぎとめるかを巡って様々な工夫がなされていることは周知の事実である。多店舗展開による囲い込みやポイントカード発行など様々な工夫により、価値の提案を行うことで顧客ロイヤリティを高めている。
伝統的な物販モデルに固執して希少価値を見直されている場合もないとは言えないが、多くの場合、多様なサービスと組み合わせることなにより、新たなモデルに変身する形で生き残っていることが多い。ビジネスモデルとは、全てが新しいというものではなく、顧客の価値観の変化を先取りする形で、基本の形をアレンジして作り変えられる。
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