コア・コンピタンスの特定

 知的資本を関係資本、組織資本、人的資本という視点から棚卸をしてみることにより、自社のコア・コンピタンスが次第に明らかになってくる。コア・コンピタンスはSWOT分析により抽出される可能性がないわけではないが、この分析の特徴は、現在の市場の状況と顕在化している自社の経営資源を対応してみることが主な目的である。
 したがって、そこで列挙された強みはもしかすると結果であり、コア・コンピタンスそのものではない可能性が高い。そのため、この強みをどのように活かすのかという戦略デザインの場面になると適切な活用方法が見つからないということがある。コア・コンピタンスとは、強みを形成している最大の要因のことなのである。
 例えば、ある都道府県が学力テストで何時も優秀な成績を収めているといった場合、「成績が優秀である」ということは強みであるが、成績がよいという結果をもたらした要因を特定することができれば、これを応用して早期の人材育成に活用するなど、他の都道府県の追従を許さない本当の強みということになるかも知れない。
 それは、「特定の栄養素を食事でよく採っている」「生活習慣が大きく原因している」あるいは、「熱心な教育者が存在している」などということが大きく影響しているのかもしれない。もちろん、もっと掘り下げることも可能かもしれないが、そのことにどれだけの意義あるのかを考えれば、この程度の因果関係を見つけ出せれば充分である。
 しかし、企業の現場で、当社の強みは何かと尋ねると、強い技術力とかスピードなどという答えが返ってくる。こうした質問をする場面は、販売不振の原因を突き止め、目標達成に向けての戦略を再構築する過程でのやり取りであることが多いから、それでは、現在その「強み」が強みでなくなっているということですかという第二の質問になる。
 決して意地悪を言うつもりはないのだが、「強み」とは他社にはまねのできないものであり、これに対する顧客の支持があればこそのものである。ということは、この強みが今や色あせたものになっているということと同じである。「強みの核であるコア・コンピタンス」を特定できなれば、強みをより一層研ぎ澄ますことはできない。