戦略的思考法を身につけるには(その2)

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 中小企業が株主総会において事業報告や次年度の事業計画を発表する際、その年度に起きた大きな出来事と自社の業績への影響について説明し、次年度の目標もこの影響を受けるが、全社一丸となって業績の改善に努めるというような内容の説明がなされる。総論としては最もと思わる面もあるが、具体的な因果関係については殆ど触れていない。
 経営環境の変化は前年度に経営計画を打ち出す際、予め読み込んでいるはずなのに、その予測を上回る変化があったことが強調される内容になっている。そこには戦略が不適切であったかどうかの分析は全く表現されていない。現状に至った総括がないまま次年度の計画を示すのはあまりにも乱暴な話であるが、株主の側からもその点に対する指摘はない。
 環境の変化が想定外であったとしても、自社のKFSが通じなかったという反省がなければ、新年度の計画は絵に描いた餅に過ぎないのに、計画はいとも簡単に承認されてしまう。経営戦略は仮説?検証モデルを繰り返すことで精度が高まり、市場が真に求めているものに辿りつく可能性が高まるという論理的アプローチは全く見られない。
 前年度に提示した経営計画が、数字として達成されなかったのであれば、そこには必ず原因があり、企業活動とのギャップが生じていたことになるわけであるから、市場との価値の交換に失敗した戦い方がリアルに示されなければ、実現可能な新しい戦略を打ち出すことなどできない。このことを重々承知の上で計画を承認し続けている。
 このようなおざなりの経営を長期間継続してきたことにより、経営資源はどんどん疲弊してしまい、現実に則したシナリオを描くことなど及びもつかない状況に追い込まれてしまう。現実に今起こっていることのメカニズムを解明することに消極的であったというボタンの掛け違いが、戦略的思考の芽を摘みとってしまったのである。
 こうした悪循環を断ち切り、戦略的思考法でものごとを考えるには、市場との相互作用から、典型的な失敗企業または成功企業の戦略を具体的に思い浮かべてみることである。いわゆる世の中の縮図を頭の中に描いてみることである。そこには、企業の戦略もあり、これを受け入れたり拒絶したりする消費者の顔がある筈である。