自社の現状チェックとベンチマーキングの導入ステップ

 全ての行動は自社が置かれている現状をチェックすることから始められるが、今、もしも業績が低下しはじめ、業界におけるシェアも低下してきているとした場合、戦術的な対応だけでは経営目標を達成することはできない。競争環境の変化をまず認識して、自社の事業基盤である事業ドメインを再設定することが求められていると考えるべきである。
 事業ドメイントは、「どのような顧客」に「どのような製品・サービス」を「どのような差別的優位性」をもって提供するかという領域であるとすれば、事業ドメインを見直し又は再設定したならば、これを具体的に展開するプロセスとしてのビジネスモデルも再評価あるいは再構築しなければならない。これに先立ち行うのが強み弱みの分析である。
 SWOT分析により、ヒト、モノ、カネ、情報、時間、企業文化、ビジネスパートナーなどの経営資源を洗い出し、これを効果的かつ効率的に再配分する意思決定を行うことになる。つまり、新たに設定した事業ドメインに相応しいビジネスモデルを構築することで、自社が勝ち抜くための方程式を作らなければならない。
 勝利の方程式を作り、これを着実に実行するためには、変革すべき対象である業務プロセスを絞り込み、対象プロセスについて業界内外のベストプラクティスを有する企業のベンチマーキングを実施する。中小企業の場合は、各支店や営業所間でも目標達成度に差が見られることから、まず、内部でベンチマーキングを実施してみることも有効である。
 具体的には、経営活動の強み弱み(SWOT)を分析し、弱みを改善・改革するか、強みを更に強化するために、ベンチマーキングの対象となる業務プロセスを選択することが最初のステップである。特に自社対象プロセスのパフォーマンスを評価し、自社よりも優れた他社の特定プロセスに関する情報を収集し、対象企業を設定することが重要である。
 次に、ベンチマーキング対象企業を決定したならば、対象企業を訪問し、ベストプラクティスだけではなく、何故そうした効果が上がっているのか、その理由や原因も聞き出すことも重要である。すなわち、そこにはその企業(事業)の重要成功要因が隠されているからであり、これを学ぶことがプロセス変革の実行に役立つ。