消費者ニーズを掴むには

 企業経営の最終目的は、それぞれの企業経営者の価値観に基づいて設定されるものであるから、紋切り型の表現をすることは適当ではないかもしれないが、大くくりに捉えれば、消費者のニーズを掴むことが目標達成には不可欠であると言える。そのため、多くの企業では消費者のニーズを掴むことにエネルギーを使っている。
 しかし、この場合のニーズとは、需要=ニーズに応えるために供給力を高めるという構造を想定していない。つまり、企業が絶えず求め続けているのは、消費者の潜在ニーズであり、これを引き出して確認することにより、その潜在ニーズに対して生産体制や供給体制を整えるという論理が正しいように思われる。
 この論理は一見すると逆説的に思えるが、現実には、消費者は企業から提供されたものを受け入れることには慣れているが、自らはあまり情報発信しないのが普通であると考えれば、この考え方は逆説ではなく正説であるといっていいように思われる。例えば、新製品開発などはすべてとは言わないまでも、殆どがこのスタイルで生み出されている。
 より具体的に言うと、ある種の仮説に基づいて設定した製品やサービスのコンセプトに基づいて、新製品が誕生したとする。例えばそれが一般家庭で使用する掃除機だったとすると、従来型の欠点を克服したことを強くアピールすることになるが、消費者の側からいえば、本当はそういう機能が欲しかったことに初めて気がつくことがある。
 つまり、顕在化しているが未だ満たされていないニーズだけではなく、消費者が潜在的に抱いているニーズを仮説思考により顕在化させるというアプローチが新製品開発のパターンである。この時の思考様式がテーマ空間ということになるのであり、その仮説が練られたものになっているかどうかは、あるヒント(トリガー)により左右される。
 我々の行動はしばしば論理的ではないといわれるが、そうして情緒的行動を説明するのは、やはり論理的思考によるわけであるから、消費者の問題解決を一つのゴールと考えれば、ヒント→テーマ空間→ゴールという論理によって支えられている思考様式が、企業経営ばかりではなく、あらゆるマネジメントにおいて重要であることになる。