直接法と間接法によるキャッシュフロー計算書の考え方

 直接法によるキャッシュフロー計算書と間接法によるキャッシュフロー計算書の違いは、経営活動によるキャッシュフローの中身の違いだけで、小計も最終金額も一致する。直接法によるキャッシュフロー計算書作成の考え方によれば、(1)売上代金の入金額=売上高+期首売掛金?期末売掛金+期首受取手形?期末受取手形となる。
 したがって、売上高+受取手形・売掛金の減少=売上高?受取手形・売掛金の増加(期首・期末の比較)ということになる。(2)仕入代金の出金額=仕入高+期首買掛金?期末買掛金+期首支払手形?期末支払手形となる。したがって、仕入高+支払手形・買掛金の減少=仕入高?支払手形・買掛金の増加(期首・期末の比較)である。
 (3)棚卸資産の増減は、そのままキャッシュフローに影響するので、期首・期末を比較して、増加している場合は、キャッシュフローの増加、減少している場合は、キャッシュフローの減少となる。(4)人件費の出金額は、役員報酬・従業員給与・賞与などの人件費と未払い金などの増減から人件費の出金額を計算する。
 (5)その他の販売費及び一般管理費と未払い費用などの増減からその他の販売費及び一般管理費の支払額を計算する。(6)受取利息・配当金と未収利息などの増減から受取利息・配当金の入金額を計算する。(7)支払利息割引料と未払利息などの増減から支払利息の支出額を計算する。(8)法人税と未払法人税から法人税等の支払い額を計算する。
 このようにして、営業活動によるキャッシュフローの増減を計算する。一方間接法によるキャッシュフロー計算書の考え方は、2期間の貸借対照表の比較増減と損益計算書、その他の資料から計算する。まず、損益計算書により、税引前当期純利益(+)、減価償却費(+)を算出する(税引前当期純利益では減価償却費は控除してある)。
 次に貸借対照表より、売上債権の増加(?)、仕入債務の増加(+)、棚卸資産の増加(?)、借入金増加(+)、法人税等の支払い(?)により計算する。これらの項目を集計することにより、現金預金の増減を確認することができる。つまり、前期末の現金預金残高に当期の増加分を加えると、当期末の現金預金残高になるわけである。