減価償却費の計算

 減価償却費とは、事業を推進するために投資した資産を複数年使用するため、その価値が年々低下しいくことを前提にして、その価値の低減部分を減価償却費として、各年度の費用とする考え方である。したがって、本当の意味で費用と効果の対応関係が保たれているかどうは極めて不明瞭であると言わざるを得ない面もある。
 減価償却費が計上できる期間が耐用年数ということになるが、建物、無形償却資産、営業権、生物等は定額法で毎年同額の費用が計上できる。これに対して、その他の有形固定資産は定額・定率のいずれかを選択できる。ただし、どちらの場合も、最終年度には備忘価格1円だけは残さなければならないことになっている。
 多くの企業では、早めに費用を発生させる定率法を選択する場合が多いが、キャッシュフローの計算にも影響を与えるので少しややこしい。つまり、投資効果を時間の概念を入れて評価する場合では、定率法の方が現在価値は高めになるので、投資効果が高いことになるが、これはあくまで計算上の数値であることに留意しなければならない。
 時間価値を考慮した投資回収計算で用いられる方法には、正味現在価値法(NPV)と内部利益率法(IRR)がある。正味現在価値法は、将来のキャッシュフローに投資のための割引率(金利相当分)を適用して、キャッシュフローの現在価値(将来のキャッシュフローを現在価値に換算した合計)がプラスであれば、投資価値があると判断する。
 内部利益率法は、キャッシュフローのプラスマイナスが相殺されてゼロになるような割引率を算出し、その数値(割引率)が資本コストを上回るのであれば、そのプロジェクトは投資価値があると判断する。つまり、その場合のキャッシュフローは資本コストよりも高い割引率に耐えうる価値があると判断するわけである。
 この計算で問題となるのは、将来のキャッシュフローの見積もり方である。すなわち、将来のキャッシュフローはあくまでも予測に過ぎないわけであるから、本当の意味での投資判断は別のところにあるかも知れないということである。また、投資が全額自己資本で賄われる場合でも、付加原価の考え方を適用して適正な割引率を設定しなければならない。