事業収支計画は、基本的には売上高?原価=利益という構造からなっている。売上高は数量×単価であるから、どちらか一方が大きくても、あるいは両方が大きくても売上高は大きくなる。一方原価は数量×製造原価もしくは、数量×仕入原価であるから、こちらは小さいほど最終的な利益は大きくなる理屈である。
このように分解してみると、売上高と原価は互いに独立していているように見えるが、実は関係が深いことは周知の事実である。すなわち、売上高が大きければ、原価率が減少するので、売上高はさらに増加する可能性が高まるので、原価率を低下させるためには、売上を伸ばさなければならないという関係にあるわけである。
製造業の現場でよく生じるコンフリクトとして、典型的な形がこのケースが多い。つまり、製造部門の言い分は、販売部門の頑張りが足りないため、製造する製品の数量が少ないために、製造原価の引き下げができないという。一方の販売部門は、当社製品は原価が高いため、そのコストを上乗せした販売単価が高く、競争力が弱いので売れないという。
どちらの言い分が正しいという問題ではなく、全社的には売上が伸びないという事実と目標とする利益が達成できないという事実が残ってしまうだけである。さらに複雑なのは、売上高も原価もこれを作り上げるためには、人件費や機械設備その他の経費が必要であるということである。ここが収支計画策定の難しいところである。
収支構造を表面的にみると、売上高?原価?販売費・管理費=営業利益という極めて解りやすい形になっているため、売上高を伸ばし、原価と販売費・管理費を抑えることで営業利益が獲得できるかといえば、全くそうではない。売上を伸ばすためには、商品に付加価値をつけなければならないから、その付加価値を作るためには費用がかかる。
これは極当たり前のことであるはずなのに、実際の企業努力は原価の低減と販売費・管理費の抑制に力を注ぐことが多い。例えばリストラなどがその典型であり、場合によっては売上高を低下させてしまった最大の原因となっていることさえある。当然無駄な経費は削減しなければならないが、付加価値を高めるための費用まで削減しては元も子もない。
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