問題を正しく定義する前提となる、「あるべき姿」を的確に描けない理由は、大きく分けて2つのパターンがある。一つは、ビジョン構想力が欠如しているため、目標設定が不的確であるパターンであり、もう一つは、パラダイムの変化の認識が欠如しているため、「あるべき姿」を誤認して設定しまっているパターンである。
前者の典型的な例は、売上高目標を対前年比で機械的に設定し、部門や部下にノルマとして強制的に押し付けるパターンで、部下が「わが社にはビジョンも戦略もない」などと嘆いているのは、このタイプの企業に多いようである。こうした企業のトップは、過去の実績を「あるべき姿」だと思い込むことから抜け出せないでいる。
「あるべき姿」が的確に描けないわけだから、現状とのギャップである問題も掴めているはずがなく、したがって、この問題を解決するための戦略は描けていないのは当然である。こうした状況の中で、対前年度実績を根拠に目標達成を迫るのでは、負の連鎖が拡大するばかりで、部下としても根拠のない販売促進策を推し進めるしかない。
こうしたことが、得意先の不信感につながり、マイナスに作用することはよくあることだが、元々適切な戦略方針を示さないのだから、目標を達成できなかった原因を把握することもできない。こうした悪循環をどこかの時点で誰かが止めなければならないのだが、現実的にはなかなか改めることは難しいようである。
後者のタイプも、結果的には同じ負のスパイラルにはまってしまうのだが、結果を検証する意識が残っている場合は、比較的軽症で済むこともある。つまり、仮説が間違っていたことに気づくチャンスが多く存在するから、目標設定の前提となる「あるべき姿」の認識が間違っていたことを否応なしに悟らされてしまう。
一旦パラダイムの変化に気づけば、「あるべき姿」を捉えなおせることになるから、現状とのギャップも的確ら把握できる。こうなれば課題解決に向けての戦略もより現実的で実現可能性の高いものへと修正できる。こうして戦略の処方箋が明確に描けることで、経営資源を効果的かつ効率的に再配分できるというわけである。
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