消費者のニーズが極めて限定的で一定の要件を整えてさえいれば、如何に速くかつ大量に生産し、商的環境に置くかが最大の課題であった時代には、メーカーがチャネル・キャプテンであったが、ソリューション願望が高まるにつれて、メーカーの地位が相対的に弱まり、より消費の現場に近い流通業の存在感が増してきた。
メーカーとは、元々消費者ないしエンドユーザーが、どのように商品を使用・消費することで何を期待していたかを把握したうえで、これをより便利なように生産・改良することで経営目標を達成させてきたわけだから、消費現場からもたらされる情報が頼りであったことは疑う余地がないし、現状でもそのメカニズムは変わっていない。
しかし、技術革新やIT化が進展するなか商品が多様化してくると、市場情報がメーカーに伝わったとしても、対応力に限界があるため、本質的なソリューションからは遠ざかってしまう。つまり、メーカーは所詮部分解の主役ではあるが、全体解を直接提示できる存在ではなくなってきた。というより、元々そうした役割を担うことが不得手なのである。
メーカーのセールスマンなどを見ていると、未だに旧来型のチャネル・キャプテンを引きずっている。「他社製品よりも性能が優れており、価格も安い」というワンパターンのフレーズをお題目のように唱え、販売促進に努めている。相手(顧客)が何を求めているのか、つまりソリューションは何かには一切訴求しない。
流通業にしても、売上が激減しているタイプの企業は、大なり小なりこうしたプッシュ型の販売促進から抜け出せていない。そこには、「作ったものを売る、仕入れたものを売る」という姿勢が欠けているという共通性がある。消費者は商品を買いに来ているのではなく、問題を解決するための一手段として、商品を求めているだけなのである。
マーケティングの原点はこの点にあるわけで、ソリューション願望に応えるためには、まず、情報の正確な伝達と分析を先行させなければならない。その水際に位置するのが流通業というわけである。今や、消費者さえも知覚していない潜在ニーズを引き出す役割までも期待されているのが、流通・サービス業のポジションなのである。
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