契約が締結されると、商品の引渡しと代金の支払が同時に行われるが、支払条件は現金決済とは限らないので、場合によっては保証人や担保提供を条件とする場合もある。相手方にとっては商品の納期やその後のメンテナンスなどが気になるところであるが、営業マンとしては支払条件の着実な履行が最大の関心事となる。
取引にはトラブルがつきものとはいうものの、支払条件に則した債務の履行が行われなければ、営業マンにとっては決定的な痛手となるため、このリスクをどのようにして回避するかが大きな問題である。支払条件も商品に付随する付加価値の一種と考えざるを得ないで、顧客と自社の間で板ばさみになることもある。
しかし、誤解してはいけないことは、商品そのものの付加価値と支払条件はトレードオフの関係にあるのではないということである。以前にも紹介したように、支払条件や代金回収を厳しくすると売上が伸び悩むということはなく、むしろ、これを疎かにすることで自社の経営姿勢が疑われ、マイナスに作用することが多い。
もちろんこのことは、時と場合によるわけで、むやみに支払条件を厳しくすればよいというものではない。要は顧客の与信度をどの程度に設定するかという、もっと根本的な問題である。営業マンに言わせると、与信度の設定といっても感覚的なもので、これと言った客観的な尺度があるわけではないので、結果で判断するしかないというのである。
上司もまた、同じような考え方で販売にのみ入れ込んでいると、当然貸し倒れの危険性が高まることになり、会社の目標も部門の目標も達せられなくなる。そればかりか、相手先の課題解決にも寄与できなかったことになるわけであるから、当初の商談自体がどこかボタンのかけ違があったと判断せざるを得ない。
ここが営業の原点であり、情報収集・加工・分析・評価の重要なところである。取引のなかには、予測のつかない結果は多々あるとはいうものの、相手の課題をよく見極め、商談のなかの応酬を通じて得られた情報を、どれだけ深く読み込むかによって大きく結果が異なる。契約の要件を確認する場面はその最大のチャンスである。
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