上下の目標水準のギップの調整?その2

 目標管理制度と成果主義給与制度とは、そのよって立つ根拠が異なるのではと誤解されている傾向があるようだ。しかし、目標管理制度の目指しているところは、目標の達成つまり成果であることを忘れてはならない。要は、成果主義制度をどのように位置づけ、設計するかにかかっているのであって、成果主義アレルギーでは議論が噛み合わない。
 成果主義とは企業における成果とは何かを定義し、これを達成するためにどのようにシステムを設計し、運用するかというテーマのなかで、その貢献度をどのように評価し、個人のポイントとするかが問われるもので、組織内外の協力体制確立が不可欠であるということは疑う余地がないわけで、このことをしっかり認識して欲しいものである。
 こうした考え方をわたしは、「全体は個人のために、個人は全体のために」という原則で説明している。つまり、全体のパイが大きくならなければ、個々の従業員に分配する原資を獲得することができないわけだし、それを獲得するのは個々人の目標管理意識そのものであるという考え方であるから、言われているような利己主義とは全く異なるものである。
 成果主義給与制度の導入が失敗に終わったかどうかの境目はこの点にあるといっても過言ではない。例えばある企業では、売上高中心主義を全面に打ち出し、これを尺度にして成果を測定するシステムを導入したが、見事に失敗してしまったのである。この原因は、売上を直接もたらす営業以外の部門はあまりにも低く評価しすぎたのである。
 一方、「全体は個人のために、個人は全体のために」という基本原則を貫き、売上実現を支える部門を合理的に評価することに気配りした企業は、スタッフ部門の協働意識を高め、バックアップ体制が格段に充実したのである。そのため営業部門もその恩恵を認識するに至ったことで、会社は協働システムであることが確認された。
 このようにして成果主義給与制度の導入である程度の成果が認められたことで、目標・方針設定方式も比較的円滑に運用されるようになる。すなわち、上司も部下も個人的な感情や認識の違いを乗り越えられるようになり、お互いの主張に隔たりがある場合でも、率直に意見を交わす姿勢に変わることが期待できるというわけである。