リーダーに課せられた使命

 管理者たるものは、「自分の使命とは何か?」ということについて自問する姿勢が必要である。具体的には、上位部門の目標や方針をよく理解し、その目標を達成するために、自分はどのように貢献できるかを十分認識していることである。こうした基本姿勢がなければ、どんなに能力が高くても部下に対する説明も熱意が欠けたものになる。
 こうしたスタンスは意識の問題であるように思われるが、管理者に必要とされるスキルによるところも大きい。そのスキルとはよく言われる3つのスキルである。?テクニカル・スキルは、特定業務の専門能力でその方法やプロセス、手続き、技術などについてよく理解し、それを職場で十分に駆使できる能力である。
 ?ヒューマン・スキルは、対人能力といわれるもので、集団の一員として他のメンバーと協力したり、集団のリーダーとして部下の協力関係をつくり上げる能力である。?コンセプチュアル・スキルは、企業内外のあらゆる状況を的確に分析し、重要な要因を把握する能力で、概念化能力(総合判断能力)とも呼ばれている。
 管理者に課せられた使命とは、上記のスキルをそれぞれの管理レベルにおいて駆使し、会社の目標を達成するために、メンバーの協働意識を高めるようリーダーシップを発揮することにほかならないのだが、現実にはテクニカル・スキルには長けているものの、対人能力や総合判断能力はあまり活用されていない場合が多いように見受けられる。
 例えば、企業を取り巻く環境の変化を意識すれば、仕事のプロセスよりも成果に重点をおかなければならないはずなのに、相変わらず、はテクニカル・スキルのレベルでの発想に終始し、成果達成への意欲はあまり見られないように思われる。
 また、本来の仕事は、上司や他のメンバーから、強制されるものではなく、個々のメンバーがそれぞれに設定した自己目標を、自己統制するという形がとられているようには見られないし、会社の目標と個々人の目標のベクトルもまちまちであるため、欲求も統合されていない。こうした状態を改革するのが管理者に課せられた使命である。