フィードバックを忌避する理由

 フィードバックを避けたいという姿勢は、評価する方にもされる側にもある。例えば、学生は試験の結果のフィードバックを嫌う場合は、成績があまり芳しくないことを知っているので、できれば評価を返してもらいたくないと思うような場合である。一方、先生が学生や父兄の評価を制度化するという動きには、かなり抵抗があるようだ。
 この場合、両者に共通しているのは、あまり良い評価が期待できないことを熟知しているときである。つまり、学生は試験の結果に自信があれば、フィードバックを嫌う理由はないわけだし、先生の場合も、普段から学生からの人気が高いことを自負していれば、同じようにフィードバックを受入れるはずである。
 先生の場合は、人気に自信がないだけではなく、教育に対する考え方の違いに学生や父兄との間にギャップがあり、表面的な人気度などで評価して欲しくないという理由があるように推察されるが、それも含めて評価されることをこばまないとい先生も存在する。どちらが正しいとは一概に言えない問題であるかもしれない。
 しかし、立場や考え方が違うからこそ評価が必要なのであるわけで、このギャップを埋めるためにも、フィードバックを恐れるべきではない。確かに、レベルや造詣の深さが全く異なるものが、あさはかな理由で他人を評価することには耐えられない面はあるが、それは評価軸と評定ルールを改めることでかなり修正できる。
 企業内において、コンピテンシーや共通の成果を尺度に評価し、結果をフィードバックすることを忌避するというのは、コミュニケーション能力が不足していることを意味するものであり、組織力を高めるためにはマイナスの要素であるといわざるを得ないのだが、現実には、顧客や同僚、部下などからのフィードバックを避けたがる傾向がある。
 フィードバックはある意味で、自分を映す鏡でもあると考えれば、むしろ積極的にこれを受け入れ、組織に対する貢献力を高めるために活用できる。また、組織内における評価軸が確立されていれば、他人による評価以前に自己評価も可能であるはずなので、ここを固めることが偏見や恐怖感を拭い去る近道でもある。