人事考課は一般的に、情意考課、能力考課、成績考課の3つの種類の考課から構成されている。第一の情意考課は、与えられた職務に対してどのような態度で挑んだかを評価するものである。具体的には、意欲の高さ、規律性、協調性、積極性、責任性などであるが、積極性と責任性は類似要素が重複しているためミスジャッジが起こりやすい。
第二の能力考課は、職務を遂行する上での必要な能力をどの程度保有しているかを評価する。その要素は、理解力、判断力、表現力、渉外力、企画力などの職務遂行能力、一般業務知識、専門知識、スキルや技術の保有レベルなどであるが、知識と力は表裏一体の関係にあるためか、人物評価になってしまう虞がある。
第三の成績考課は、それぞれの担当業務をどれだけ遂行したかを評価する。評価要素としては、仕事の量的達成度(速さ、量)、質的達成度(正確さ、できばえ)といった2つの面から規定される。この場合も、担当する部門によっては、成果の定義が難しく評価が正確ではないという批判が常につきまとうようである。
職能給制度を導入し、実際に人事考課を適用している中小企業では、人事考課の運用が難しいので、考課者訓練を実施したいという要望が強いようであるが、訓練を実施したとしても、満足のいく結果が得られなかったという感想を漏らす担当者が後を絶たない。その原因を追跡してみると次の2つによるものと思われる。
一つは、職務基準と職能要件がチグハグである場合である。つまり、等級のグレードが異なる職務を同一の社員が担当しているため、もともと評価制度になじまないといった状態にある。もう一つは、考課ルールが不徹底で、恣意的に制度が運用されているといった場合である。中央化傾向やハロー考課はその典型的症状である。
これらは、いずれも成果を明確に定義していないために生じる現象である。すなわち、バランススコアカードでいう財務的視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点という4つの視点のバランスが欠けているため、成果?能力?態度の因果関係が不明瞭になってしまった結果、成果とは無縁の要素を重視した評価になったものと思われる。
コメント