小売業の基本機能は文字通り小分け機能である。つまり、大量の商品を消費者の要望に応えて、適正な数量やパッケージにして総合的利便性を提供することが、小売業に課せられた使命である。そこでは品揃え機能ばかりではなく、専門的な商品知識やサービス機能などが複合的にミックスされた情報提供機能も要求されている。
今や、消費者が来店を決定する要因は極めて複雑で、購買したいという商品を明確に意識していることは稀で、入店後に買いたいものや足りなかったものに気づく。しかし、一方では、店舗イメージやランクづけがほぼ構築されており、購買行動や購買態度の中にしっかりと根づき、パターン化されているという状況も窺われる。
一見矛盾しているかのようなこれらの態度は、大くくりにして説明するとすれば、ワンストップショッピングということになるのかも知れないが、これとても全てをカバーしきれる保証はない。もっとも、大規模ショッピングセンターなどではワンストップショッピング性に果敢に挑戦しているが、費用対効果の面から更なる検討が必要となろう。
少なくとも、中小小売業の存立基盤は巨大な全体市場の中で確立されるべきものであり、「専門性」と「組み合わせ」という切り口から、消費者の生活シーンにマッチした提案機能を備えることで、大企業が展開している市場の一部に基盤を築ける可能性は高い。これはちょうど、CVSとGMSとの相互依存関係をイメージすれば理解しやすい。
こうした一種の棲み分けにより、中小小売業が存立基盤を確保できる理由はほかにもある。それは、IT化の進展により、従来のような来店オンリーの購買パターからオンラインによるショッピングが可能になったことで、立地の優位性はかなり薄まってきているということであり、マーケティング機会は格段に広がっている。
一方、こうした環境変化は、中小小売業にとって全てが追い風になっているわけではない。情報化の進展は、当然他の業種や業態が新規に参入してくる可能性があるということであるから、これを迎え撃つ覚悟が必要となる。となれば、顧客をどれだけ知っているかを巡る競争こそが、これからのマーケティング課題とすべきである。
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