マーケティング・ROI分析?効率性監査その3

 マーケティングは市場環境への働きかけにより、その対価として収益を得ることがその使命であるため、製造原価や人件費その他に投下された資本および諸費用を回収し、かつ目標とする利益を獲得する収益が約束されるものでなければならない。したがって、マーケティング担当者はこれらの費用を厳しく管理し、効果を明示する責任がある。
 こうしたマーケティング責任者が負うべきアカウンタビリティを明確にした考え方が、ガイ・バウエル(米国アトランタ)によるマーケティングROI公式である。これは、企業経営における他の投資を評価する場合の評価と同じように、投資費用、リターン、リスク、ハードル率をマーケティングROIで考えようというものである。
 この場合のROIは、「マーケティング・プログラム遂行によって得られる収入/当該プログラムのコスト」と定義される。つまり、マーケティング・プログラムによって新たに創出された収入が5億円で、マーケティング・プログラム・コストが1億円であれば、マーケティングROIは5.0(5÷1)となるわけである。
 ここで前述のハードル率とは、企業が設定したマーケティングROIそのものであるから、ROIを5.0と規定したとすれば、これを下回るマーケティング投資は採用しないか、あるいは優先順位が低いと判断するわけである。この考え方は、「やってみなければわからない」という旧来型の経営管理方式を真っ向から否定するものである。
 少し乱暴な手法と思えるかもしれないが、企業経営は、もともと仮説検証モデルであるという前手に立てば、こうした事前の策を講じることは当然のことと解釈すべきでもある。すなわち、マーケティングROIを算出する意義は、マーケッティング資源をターゲット別に再配分する、マーケティング手段の最適ミックスを科学的に検証することにある。
 その効用は、投資効果を最大化するマーケティング投資配分計画、マーケティング・ミックス実行計画の策定を可能にする。統合的な販売計画へのインプットができる。成功、失敗に至る因果関係が見える。アカウタビリティが向上する。つまり、過去のマーケティング活動の変数を使用し、シミュレーション・モデルを解析することで可能にする。