法律の改正や新法の制定は、時に企業経営にも大きな衝撃を与えることがあることは経験済みであるが、考えてみるまでもなくまず法律ありきではないはずである。その時代の社会環境や世論の盛り上がりの集大成と考えれば、法律の改正や制定に至るまでの過程で経営の舵取りをシミュレーションしてみるチャンスはあるはずである。
しかし、政治の世界は一般常識とはかけ離れている場合が多いので、法案が可決されるまで予断を許さないこともあるが、そうした動きに注意を払う必要があるのは当然である。近年新たに制定された法律では、郵政民営化関連法案などが一般消費者ばかりではなく、企業経営にもかなり影響することは確実であるだけに目が離せない。
社会現象が引き金となって制定された法律で言うと、従来の「証券取引法」を利用者保護ルールの徹底と利用者利便性の向上、「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保、国際化への対応などの観点から大幅拡大を目指した「金融商品取引法」であろう。がん対策基本法なども世論の盛り上がりに応える形で成立したものと思われる。
一方司法制度に目を転じると、裁判員制度の導入は日増しに話題性を増しているが、国民の義務とはいえ、人が人を裁くことの罪深さを考えると誰しも二の足を踏むもの無理からぬことかもしれない。こうした司法制度もマーケティング環境に影響を与える可能性もあると考えるのが、市場環境の変化を捉える場合の重要な着想である。
最近話題の管理職を巡る定義の問題やサービス残業の問題も、マーケティング組織を支える根幹に関する問題であるとすれば、外部環境というよりむしろ内部の問題としての意味も大きい。また、改正パート労働法や労働者契約法なども、企業経営者の悩みの種となっているなど、直接的か間接的かは別として無関心ではいられない。
これらの法律ないし制度の改正には、かなり衝撃的なものもあるにはあるが、いずれも、原則として、あるべき姿に向かって体制を入れ替えているのだと考えれば、経営理念に支えられたCSRを実践していれば、それ程違和感はないはずなのに、現実には戦々恐々としているという対応を正すのもマーケティング監査の役割の一つである。
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