市場細分化による市場の選択

 競合他社と自社の位置関係を確認することの意義は、競合企業群の参入を食い止め、独自能力を発揮できる市場を見つけ出すことにある、という前提で議論を進めてきた。それが自社のポジションを明確にするということなのだが、このことに関しては、2月29日の記事(中小企業にとっても身近なマーケティング?その5)で確認して頂きたい。
 ここではポジショニング分析を進める手順についてもう少し説明したい。まず、業界の経営指標を用いて、主成分分析を行い各社のポジションを明らかにするとともに、主成分を多く含んだ経営指標と各社のポジションをクラスター分析により、グルーピングしてみる。2つの分析結果に注目しながら、競争範囲(市場)の選択を行う。
 この行程を吟味する意義は、市場の大きさとどんな独自性で戦うかを決めるためである。このメカニズムを説明するのはかなり困難であるが、敢えて挑戦してみると次のようになると思われる。各社のポジションからは市場の大きさと競合相手を選ぶことになるが、経営指標間のポジョンでは、どの指標が売上高や付加価値生産性に関係しているかを見る。
 この場合、独自能力において競合他社との差別化が難しいと判断される場合もあるが、ポジションが完全に一致している場合を除き、必ず他社との相違点が見つかるはずである。もしどうしても特定できない場合は、相対する経営指標で異なる部分を探し出す。つまり、ベンチマーキングの方法で両社の特徴を掴むわけである。
 全体市場の中では同位地水準にあったのであるから、クラスター分析の結果から得られた距離の長さで両社の類似性が確認できることになるので、細分化された市場におけるお互いの独自能力は把握できる。大抵の場合は、かなり異なるのが普通であるが、指標の選び方や分析者の技量によっては相違点が見つかりにくいこともあり得る。
 こうした一部の例外は別として、付加価値率と付加価値生産性(負の相関もある)や流動比率と売上高、労働分配率と付加価値生産性などが、独自能力の支えになっていることが多い。これに計画と実績の差異分析の結果を突き合わせてみれば、独自能力の実態が把握できるので、新たに設定した市場との対話(マーケティング)戦略が構築できる。