経営組織の基本形態?その2

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 ファンクショナル組織(職能組織)は、ライン組織が管理者に権限や責任、知識、経験などオールマイティであることを求められるといった欠陥を解決するため、包括的な責任と権限が機能的に分解され、各管理者はそれぞれ専門の職能を担当することにより、これを決定する権限を有し、部下はそれぞれの専門領域について各管理者から命令を受ける。
 したがって、この組織形態は職能の水平的分業を基礎として職能化の原理を取り入れながら、専門化の原則も活用できるのが特徴である。そのため、例外の原理が生かされ、管理者の負担が軽減されるから、管理者の養成も容易になるなどの利点がある。一方、部下は数名の管理者から受けることになるため、命令一元化の原則が揺らぎがちになる。
 また、各管理者の相互関係やテリトリーが不明確になりがちで、責任の転嫁か横行する危険性を孕んでいる。以上のように3つの経営組織の基本型は、それぞれ一長一短あるため業種や業態、企業規模などによって型を選ぶしかないわけであるが、現実にはかなりアレンジした組織として運用していることが多いように思われる。
 というのも、中小企業の場合はオーナー経営もしくはこれに近い形が多いため、経営者の手腕により組織形態を自由にアレンジできるからである。例えば、組織形態からいうと明らかにライン組織であるのに、ライン長がスタッフの役割を担っているとい場合は稀ではないし、業務の遂行には全く不便を感じていないのである。
 また、逆に形式的にはライン・アンド・スタッフ組織であるのに、実態としてはスタッフが部門長を兼ねているなどというものまである。この場合は長年の経験則により、部下も上司の権限の範囲をよく心得ているためか、殆どドラブルなどは起きないというから不思議である。これはトップのコントロールが利いているためと思われる。
 ただし、多くの場合は大なり小なりスタッフの横暴が見られることも事実である。例えば、金融機関からヘッドハンティングされた有能な経理課長が、得意先に対する売掛金回収について、決定権が与えられていないにもかかわらず、社長も同意するに違いないと思い込み、単独で決裁サイトの延長を決定してしまうなどである。