多角的に事業を展開している場合はもちろん、単独の事業でも経営目的の達成度によって業績の評価が行われることになる。それはちょうど成果主義給与制度の成果と同一のものであるから、何をもって当社の成果とするかということと基本的には変わりないが、経営戦略で定めた経営目的が常に成果の集合と一致するわけではない。
これは一見矛盾しているように思われるが、事業業績は長期的かつ戦略的な視点での評価が必要であるのに対して、給与制度は一事業年度を基準にした短期的業績を基準にしているからである。つまり、長期計画は経営理念を具体化したもので不変的なものであるから、これを単年度に配布した短期計画と矛盾することは原則的にはない。
しかし、市場環境の変化が目まぐるしい現代においても、事業年度では目標利益の獲得が不可欠であるため、ある程度の修正は必要となるが、多元的評価基準により長期的視点で評価することも欠かせない。長期的事業計画の進捗度を公正に評価することは、企業のリスク管理の一環としても重要であるだけに普遍的な尺度が必要である。
期間利益を基準にすれば、売上主義に走りがちになり長期的な戦略から離れてしまう危険性もある。また、総資本利益率を基準にすれば、売上高の確保に奔走するとともに、総資本を必要以上に圧縮することも懸念され、必要な設備投資も押さえ込まれるといった現象も起こり得るなど一長一短があるので、しっかりした予算統制が必要である。
また、多元的業績基準は、売上達成率、市場占有率、顧客満足度、付加価値生産性、原価削減率、従業員のモラール水準、CSRなどが挙げられるが、これらはまた利益獲得に対する意欲が希薄になるという欠点もあるので、利益基準と多元的基準を併用するとともに評価基準を数値化しておくことが望ましいように思われる。
中小企業の経営者には、これを全て包含した基準として付加価値生産性を唯一の基準とすることを薦めている。多少乱暴のようにも見えるかもしれないが、よく考えてみると、この数値は売上高を母体としているし、利益の源泉にもなっているから、顧客満足度や原価の軽減その他も、間接的ではあるが反映しているので合理的である。
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