企業が多角化戦略を志向するのは、リスク管理の一環として事業構造を市場環境の変化に対応させるためでもある。企業は市場に対して新製品を投入する場合、まず、その製品の開発に投下した資本を回収しなければならないというハンデを背負っていることもあり、製品価格はやや高めに設定されるのがセオリーである。
やがて製品が市場に認知され販売量が拡大すると、初期投資額が回収されるとともに後発の製品も登場するようになるから、価格水準は低下し利益率は低下するが、販売量が伸びているため獲得利益総額は最大になる。しかし、衰退期を迎えると、新用途の開発やモデルチェンジなどにより、販売促進に努めるが衰退傾向に歯止めがかからなくなる。
このように、いわゆる製品のライフサイクルが成熟期を過ぎ、衰退期に突入する時期になると、これまで獲得した利益の中からマーケティング費用として追加支出するか、それとも市場から撤退して新製品の開発費用に当てるべきかが検討されることになる。もちろん、市場はイキモノであるだけに理論的なライフサイクルを辿るとは限らない。
しかし、いずれにしても、同一の製品が市場に止まっていることはないわけであるから、余剰資源の再投資という意味からも多角化戦略を選択することになるが、この場合の新製品も当然同じようなサイクルを辿るため、更なる多角化に繋がることになるから、企業の全体戦略としては、これらの事業を適正に評価することが不可欠になる。
事業部の評価は結構複雑であり、上記のように製品のライフサイクルが明確である場合はともかく、景気や消費者満足、技術革新など多様な要素により需要が変化するため、必ずしも時系列的に捉えることは難しいので、評価はもっぱらこれらの基準も含めた、利益基準や多元的な業務基準によりなされることになるものと思われる。
利益基準の場合は、目標とする期間利益獲得と総資本利益率が尺度となるが、長期的な視点が欠けている面もあり適正性を欠くこともある。また、売上高の成長率や社会的貢献度、労働生産性の向上、その他の評価軸を設けている場合もあるなど、経営理念やプロジェクトの目的などによりことなるが、何等かの評価が必要であることは確かである。
コメント