業種別・規模別特性の分析?不動産業

 主成分分析の結果から、主成分1を多く含んでいる要素は、「分配率」、「人件費率」、「付加価値率」であり、「1人当り付加価値額」、「1人当り利益」、「1人当り人件費」、「1人当り売上高」はマイナスの要素である。一方の主成分2は、「分配率」以外の要素は全て含まれている。これが不動産業界の特徴の一つである。
 これらの要素の位置関係を主成分マップで確認してみると、主成分1、主成分2のベクトルがともに大きいのは、「人件費率」、「付加価値率」であり、主成分1は大きいが、主成分2は小さいのは、「分配率」である。また、主成分1、主成分2のベクトルがともに小さいゾーン属する要素は、理論的には「人件費率」、「付加価値率」が小さいことになる。
 主成分1は小さい、主成分2は大きいのは、「1人当り付加価値額」、「1人当り利益」、「1人当り人件費」、「1人当り売上高」である。この4つの象限に規模ごとのグループをプロットしてみると以下のような位置づけになる。
 2?3未満、2未満、5?10未満は、付加価値率は高いが人件費率も高いため、付加価値生産性は低い位置にある。3?5未満、10?20未満は、付加価値率は低く労働分配率が高いため、付加価値生産性は低い位置にある。20?50未満や規模計、100?1,000未満は、人件費率、付加価値率ともに低いために付加価値生産性は比較的高い位置にある。
 1,000以上は、労働分配率が低いため、付加価値生産性は高い水準になっている。この業界は付加価値率と付加価値生産性は主成分1では対立関係にあるものの、主成分2ではかなり共通する要素があるためで、人件費率と付加価値率は付加価値生産性を押し上げている面が窺われる。つまり、労働分配率と人件費率は共通性もある一方で反発もしている。
 このように見てくると、付加価値率を高めているのは人材力であり、これを支えているのは人件費の高さであると見られるが、1人当り売上高、付加価値生産性の高さの割合には、1人当り人件費が小さいという傾向も見られることから、労働分配率を抑えることと人件費率を高めることの違いを検証してみることが課題のようである。