固定費計画?その3

中小企業の収益構造を分析してみると、売上を獲得するために有効な費用と利益を獲得するための費用が相反していることがよく見かけられる。つまり、売上を優先させれば、営業利益(率)を犠牲にしなければならが、利益を優先した費用を重視すれば、売上の獲得が疎かになるという構造である。
 冷静に考えれば、売上があるから利益の獲得に繋がるわけであるから、どちらも大切な費用であることは間違いないはずであるが、直接的な分析の結果からは見えにくい構造になっていることは確かなようだ。こうした相い矛盾した構造の背後にはどのような要因が隠されているのだろうかと考えると、一つの結論が見えてくる。
 少し横道にそれて恐縮だが、商品の性質を考えるとき、生産者や販売業者の立場からすれば交換価値が問題であるが、消費者側から見れば使用価値が問題であるとすれば、商品ないし製品は交換価値と使用価値の両面の性質を持っていることになるが、これと似た性質が売上と利益の関係にも含まれているのではないかと考えられる。
 つまり、売上を実現するために必要な費用は、利益を獲得するための費用でもあるし、その逆でもあるということではないのだろうか。だからこそ、個別の費用単独では売上も利益も説明できないのであり、これらが複合的かつ有機的に作用し合って最終の目標利益に結びつくのだと考えるのが合理的である。
 このような考え方によると例え固定費といえども、うかつに費用を削減すると売上と利益の両方に影響を与えてしまうため、期待効果は極めて薄らいでしまうことになる。こうした事実を検証することなしに、売上が減少したからといって、むやみに経費の節減を経営改善計画のメダマにした対応は危険極まりないといわざるを得ない。
 売れなくなったから費用を削減したのか、必要な費用を削減したために売上や利益を減少させてしまったのかの議論は脇においておくとして、少なくとも固定費計画を策定する場合は、費用の分解を十分行い、最終目標達成のために何が必要なのかを見極め、その上で予算を組み立てるという手間を惜しんではならない。