自分なりの人生哲学をもち、生き甲斐、やり甲斐を感じながら経営していますか

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生き甲斐、やり甲斐をなくして生きていくのは多分つらいことだろうと思う。人間である以上どんなに逆境にあっても、一筋の光明があれば生きられる。それは、自分が生かされているという証拠でもあるのだろうが、現実には、なかなかそうした価値観を軸にして経営に取り組むことは難しいのかもしれない。
 しかし、数字を追いかけている経営活動の中にも、生き甲斐、やり甲斐は確かにあり、これがまた明日の活力になっていることも実感できる。哲学というとアカデミックなにおいがして一般人には馴染みにくいが、それほど格調高く考える必要はなく、自分がよって立つ拘りぐらいに捉えても差し支えないように思われる。
 宮沢賢治が生徒から、「先生人間は何故生まれてくのですか」と問われたとき、「それを考えるために生まれてくるんだ」と応えたという。これぞ哲学といった感じであるが、それほど力みもなく自然な発想がすがすがしいのは、作為的に言葉を選んだり、他人から賞賛されようなどといった邪念がないからである。
 こうした経営者の人生哲学が社員に浸透し、企業の行動規範の源になっている企業は、直接の取引先からだけではなく、多くの市民からも理解され、商品に対する評価も高まり、資金調達の際の選択肢も広がることになるので、こうした哲学を企業のサービスマークやシンボルマークとしてアピールしている企業もある。
 企業広告などにもこの手法は応用されているが、演出が過ぎると色あせてしまう場合もあり、難しいところではあるが、目には見えない哲学を象徴的に表現することは、イメージを膨らませ、商品の付加価値を高める効果があることは確かであるから、まず、明確なメッセージを発する意味で、哲学を色や形で表現してみてはどうだろう。
 いずれにしても、経営者の人生哲学を前面に打ち出し、「この拘りに賛同する人が当社の顧客である」くらいのメッセージを送り続けることで、当然商品やサービスに対する差別化も表現できるから、競争戦略の切り口も明確になり、マーケティング戦略のターゲットも絞り込め、有利な戦いが展開できる可能性が高まる。