売掛金の回収目標を設定して厳しく管理していますか

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売掛金の回収速度は通常受取勘定回転率{売上高÷(売掛金+受取手形)}で測定されるが、実際に回収目標を設定する場合は、業界の商慣習や業種特性に配慮しながら、得意先の財務状況など個別の得意先ごとに検討して目標値を定め、それを加重平均して受取勘定回転率の目標とすることになる。
 自社の資金計画を優先するあまり極端な回収条件を提示することは、得意先の不信感を招く虞もあり慎重に対処しなければならないが、何の根拠もなしに与信度を設定している場合などは、改めて得意先の信用調査を行うなどの措置を講じ、必要に応じてサイトの縮小を求める工夫をしなければならない。
 回収速度が上がらないのは、営業担当者の怠慢と管理者の認識不足によるところが大きいように思われる。すなわち、営業担当者は販売実績の向上を目指すのであれば、売掛代金の回収速度は多少犠牲にしなければならないと考えており、管理者もまたそうした常識から抜け出していないことが多い。
 ある流通業で、受取勘定回転率と売上高との相関分析を行った事例を以前に紹介したように、有意な程度とはいえないまでも正の相関関係があった。つまり、売掛金の回収を厳しくすることが、多少ではあるが売上を伸ばすことに貢献しているという結果であった。ちなみにこうした結果は、業種・業態を問わず多くの企業でも確認されている。
 更に驚くべきことは、受取勘定回転率が向上すると総資本対営業利益率、経営資本回転率、売上高対営業利益率も若干ではあるが押し上げる傾向が見られるほか、支払勘定回転率が大幅に向上していることが観測された。つまり、売掛金の回収が加速されたことで資金繰りが改善し、その結果最終的な利益率が向上したことを意味している。
 しかし、受取勘定回転率は売上高対総利益率とは負の相関がある企業も確かに散見されることから、多分このことが営業担当者や管理者の抵抗感を強め、回収速度の改善にブレーキがかかっているものとおもわれるが、キャッシュフロー経営が求められる現在においては、限界利益よりも最終的な営業利益に重点を置くべきである。