企業における研修は、外部研修にしても内部で行う教育・訓練にしても、単なる教養講座のような研修ではない。もちろん敢えてそうした研修を必要とすることもあるかもしれないが、一般的には目指すべき経営目標を達成するためのスキルの向上、あるいは技術革新の吸収などを狙いとして行われるものである。
しかし、これには逆説的な意見もある。企業は経営目標を達成するに相応しい能力を保有しているものを採用し、その能力を発揮してもらうことが雇用契約の条件なので、新たな能力が必要となった場合を除き、特別に外部研修やセミナー、内部での教育・訓練を受けさせる必要は原則としてないというものである。
この主張には続きがある。過去において研修会を開催したこともあるが、それは大抵必要とするレベルを下回っているものに対して行ったものであるが、このような時、受講者から決まって聞かれることがある。それは、「この研修は時間外手当がつきますか、あるいは休日出勤扱いになりますか」というような内容だ。
こうした考えは、通勤手当などとも一脈通じるものがあり一つの理屈ではあるが、だからといって、必要な研修やセミナーを実施しなければ、能力が停滞してますます経営目標達成が難しくなることも考慮しなければならない。もちろんこの経営者もそうした不合理を飲み込んで研修を実施している一人である。
そうした意見はとにかく、外部研修やセミナーに参加させる場合でも、内部での教育・訓練を実施するにしても、教育・訓練費という費用(コスト)は、企業が経営活動でもたらした付加価値の中から捻出されることになるので、この費用が更なる付加価値を産む起爆剤にならなければ、上記のようなボヤキになってしまうことになる。
このように考えると、教育・訓練体系の設計と社員の教育ニーズがマッチしていなければ、どんなに格調の高い研修を受けたとしても、目標達成にはあまり寄与しないということではないだろうか。要はどのような能力が不足しいるので、どのような教育・訓練が必要なのかを受講者に認識させることが重要なポイントである。
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