マーケティングにおける戦略商品の位置づけ

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企業にとって現在中核的な位置にあり、文字通り利益の源泉となっている商品は重点商品、これを側面から支える商品は補完商品と呼ばれている。これらの商品はライフサイクルから言うと、成長期の後期から成熟期にある場合が多い。これに対して戦略商品は、将来の核を目指す商品であるといえる。
 戦略商品の特徴は、標的市場や競争地位、ライフサイクル上の位置を考慮して、潜在成長力が評価される。つまりプロダクト・ポートフォリオ上からいえば問題児に位置づけられる商品群の中から選択されることになるから、市場対応戦略上の課題は、市場シェアの拡大または奪回に重点が置かれることになる。
 商品戦略に限らず、マーケティングに関する戦略的考え方についてもう一つ理解しにくい面があるものと思われるので、流通業の多店舗展開を例に戦略の基本的考え方を説明しよう。つい先日のことであるが、ある商店の経営者から次のような質問を受けた。
 当地には昨年オープンした大型スーパーがあり、地元商店街は壊滅的打撃を受けている。それなのにこれに追い討ちをかけて隣接する町に同系列のスーパーが今建設されている。この2店舗の商圏は完全に重なっているのにというのである。つまり地元商店経営者にしてみれば、大型店の経営者は何を考えているのだろうと言いたいのであろう。
 なるほど経営のセオリーからすれば無駄なことと写って当然と思われるが、発想を変えて企業防衛の立場から解釈すればその理由が見えてくる。つまり、永久に誰もそこに出店しないという保証があれば、2店舗目の出店に踏み切らないのが効率的であるのは当然である。しかし、他の業者が狙っていると考えたらどうだろう。
 このように戦略とは、将来においてどのような姿を目指すのかによって、戦い方をデザインする企てのことなのである。戦略的商品についても同様で、既存の商品のシェア奪回を目指すのか、新たな需要を創造するかによって企ての仕方が異なるわけである。それによって戦略商品にどのような差別的優位性を持たせるかも決まってくる。