既存のマーケティング・チャネルを活用する戦略

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マーケティング・チャネルとは、生産者またはメーカーから消費者へ財を移転するための機能をもった組織である。具体的には、生産者から消費者までの空間に生じるギャップを最小限に縮めることを目的としており、中間の流通業者の介在もこの機能を補完するものである。
 ここで、空間に生じるギャップとは、空間的・時間的ギャップ(地理的空間ギャップ)、情報的ギャップ、価格ギャップ、所有権ギャップ、品揃えギャップなどであるが、これらのギャップを埋めるための円滑な活動が、マーケティング・チャネルを通じて行われる。
 IT化の進展で流通チャネルは、生産者にとっても消費者にとっても、日々拡大しこれまで非対称であったマーケット情報も、リアルタイムで入手できるようになり、購買のチャンスや手段も以前とは比較にならないほど広がっている。
 しかし、別の角度から見ると、このように技術革新が進展し、購買手段が多様化しているにもかかわらず、旧来のマーケティング・チャネルによってもたらされる商品も数多くあり、また、消費者の行動は必ずしも合理的であるとは限らない。
 私の経験のなかで、取扱商品もマーケティング・チャネルもまったく異なる2つの企業を、ほぼ同時期に診断したことが何度かあった。もちろん双方の顧客リストも把握することになるが、驚いたことに同じタイプ顧客が数多く存在していることである。
 つまり、両方の顧客は、それぞれの企業の取り扱い商品を別の企業から調達している節がある。例えば、A社は揚げ物専門の製造業者で、B社は練製品専門であるといった場合である。この両社のそれぞれの顧客は、A社の製品、B社の製品と同種の製品をかなり取り扱っているのに、このAB社はお互いに相手の存在さえ知らないのである。
 多少漫画チックないい方になるかも知れないが、この2社が提携して製品ラインを充実させることができたら、中小企業版OEMが実現できるのではないかと思うのである。もちろん、相手先顧客との関係もあるので、そうにわかには実現しないかもしれないが、それまでの信頼関係が確立されていれば、かみ合うチャンスは十分あるはずである。