自己資本比率を高めるため、どのような戦略を実践していますか

自己資本比率が高いことは、必ずしも経営の安全性を意味するものではないことは前述のとおりであるが、資金調達の手段を間接金融(借入れ)に依存せざるを得ない中小企業の場合、健全な経営状態をアピールする意味においても、自己資本比率を高めておくことが無難な戦略である。
しかし、増資などの手段がとりにくいため、融資に頼らざるを得ないという現実を踏まえれば、自己資本比率を高める戦略といっても、ごく限られたものになっているのが実情だと、感じている経営者は多いものと思われる。
それでは中小企業は、利益を蓄積するか減価償却を着実に実施するしか自己資本比率を高める方法はないのだろうか。自己資本比率とは総資本の中に占める自己資本の割合のことであるから、総資本を一定と仮定すれば、自己資本を増加させれば自己資本比率は確実に高まる理屈であり、今の議論そのままである。
同様に考えると、自己資本を現状のままに保ちながら、総資本を減少させれば、自己資本比率は高まることになる。つまり、自己資本比率を高めるためには、この両方にアプローチしてみる余地がないかを確かめてみる粘り強さが必要だということである。
そこでまず、分子の利益を高める戦略については、販売計画を含む経営戦略に任せるとして、分母の総資本をスリムにする戦略について考えてみよう。なお、当然のことながら、売上や利益を犠牲にしてまで、総資本を減少させる戦略は主客転倒であるから、除外して考えるとしても以下のような方法がある。
売掛金を債権買取会社に売却する。設備資産をリース会社に売却し、改めてリースを受ける(セール&リースバック方式)。特定目的会社を設立してここに不動産を売却した後、この不動産を賃借する。これらの戦略は、いずれも付加価値率とセットで考えるべきであるから、綿密にシミュレーションを繰り返して意思決定すべきである。