ローコスト戦略(原価引き下げ1)

 

コストの削減に関しては、規模の大小に関わらずどの企業でも少なからず関心があり、現にローコスト体質を目指して取り組んでいる。特に価格弾力性の強い商品を取扱っていい企業は、時には企業の維持発展に必要な利益獲得を犠牲にして、価格競争力を高めようと凌ぎを削っているが、これはローコスト・オペレーションではないことは明らかである。

 コストダウンと言えば、原価(率)の引き下げ、人件費(率)の引き下げ、交際費、交通費といった費用の節約などがまず検討される。このうち原価の引き下げについて考えてみると、どの企業も日々努力をしているので、これ以上無理だという結論になりそうである。それは、原材料や商品の仕入れ先との交渉力を前提した時の考え方ではないだろうか。

 つまり、バイイングパワーの大小によって、価格交渉力が決まるので、調達価格を安くするには、仕入れ数量を増やすか支払い条件を相手先にとってメリットのあるものにする必要がある。例えば、現金決済にするとか、支払いサイトを短縮するなどが考えられるが、その分、新たに資金調達をしなければならないので、なかなか難しいということにもなる。

 しかし、自社が製造業であるか流通業であるかは別として、顧客から同じような要請があった場合どのように対処するだろうか。その時の答えはたぶん調達先との価格交渉で相手からいわれたようなことが条件となるのであろう。ところが、本音としてはそうであっても、顧客の価格交渉力に屈してしまうというのが一般的なパターンのように思われる。

 つまり、原価とは、原材料費や製造コストに必要利益を積み上げたものというのであれば、誰にとっても原価は同じものであるはずなので、交渉力によって上下する余地のないはずである。しかし、原価は実際には、バイイングパワーによって変動する余地がある。

 ここで重要なことは、バイイングパワー=価格交渉力の強さと限定的に考える必要はないということである。仕入れ先の弱みを自社の力で補強することができるのであれば、それは立派なバイイングパワーなのであるといことである。このように相手の弱みに付け込むのではなく、自社の強みと組み合わせることで強固な共存体制を作り上げる方策はある。