消費者需要構造の把握

 上記の市場選択活動で市場の細分化が完了したというわけではない。市場を細分化することの最大の動機は、セグメントされた市場を異質のものとして設定し、自社の独自能力を集中させることにより、限られた経営資源を有効に活用することにあったはずなので、セグメントされた市場がそうした戦略が可能なものであるかどうか確めければならない。
 すなわち、マーケティング戦略の出発点は市場の設定が適正であることが前提条件であるから、市場の全体空間(細分化された後の市場全体)における消費者の需要構造を把握してみることで、本当に互角以上の戦ができる市場であるかどうかを検証しなければならない。例えば、異質の集合体である場合は何を基準にしているかを確認する必要がある。
 消費需要を異質にしている変数(引数)を把握するのは、必ずしも容易ではないかもしれないが、それが細分化することの最大のメリットである以上、避けて通るというわけには行かないから、取り敢えずはベーシックなデモグラフィック変数(年齢、性別、地域など)やサイコグラフィック変数(パーソナリティ、ライフスタイルなど)で分析してみる。
 この変数で消費者需要を切り分けられるかどうかがポイントとなるが、この分析はかなりの困難が予想される。この場合にも役立つのが仮説?検証モデルであることは間違いないから、任意に変数を選ぶというのではなく、ある程度仮説を立てて主成分分析により、どのような切り口で分けられるかを見極めるのが懸命である。
 つまり、主成分分析を2度行うわけであるが、それがどういうことを意味するかは最早説明の余地はないであろう。こうしたプロセスで特定された細分化の切り口となる変数は、これから展開しようとしているマーケティングのコンセプトや製品コンセプトを設定する場合の重要な手がかりとなる。つまり、戦い方のデザインが決まるのである。
 具体的には、価格ゾーンや購買行動にあわせた製品開発、販売チャネルの開発、品揃え計画などにも活用される。さらに、ターゲットとする消費者のニーズが把握できれば、コミュニケーション・ツールの開発により、市場との対話がより親密なものになる可能性も高まるから、自社へのロイヤリティも高めることにも繋がる。