寡占型の大企業の場合は、自社の独自能力も比較的容易にグレードアップできる力があるから、不安定で異質性の高い市場においても、マーケティング展開に有用な市場分析が可能である。つまり、一定の規模を持った市場に対して一網打尽型のマーケティングを仕掛けることで、かなりの顧客ニーズをカバーできることもある。
中小企業がこのような戦略を選択すると、競合企業からアケレス腱を狙われる危険が生じるため、事実上の棲み分け体制を維持するか、あるいはニッチ市場において差別化を徹底することの方を選択する場合が多いものと思われる。こうした場合にはより綿密に顧客分析を行わないと、囲い込みが困難になり安定したシェアが保てなくなる。
つまり、価格競争に巻き込まれないようにするためには、常に顧客との結びつきを強くしておく必要があるから、それだけに顧客分析を綿密に行っておく必要がある。しかし、経営資源が脆弱である場合は、市場調査を頻繁に行うことは費用の面からも差し支えるため、コンパクトで効果的な分析方法を選択せざるを得ない。
その場合に有効なのが既存データを分析することで、まず仮説を立てこれをもとに調査モデルをデザインすることである。場合によれば、既存の顧客が市場を代表している場合もあり、これを元に立てた仮説で十分機能することもあるが、その場合でも仮説?分析モデルのサイクルは繰り返えし回されていくことになる。
顧客のプロフィールを明らかにすることが顧客分析の到達点ではなく、効果的なマーケティングを展開するための出発点なわけだから、ここをしっかり押さえなければ、独自能力との相性を検討しても効果的な販売政策には結びつかない。このポイントをどの程度抑えていたかによって、競合企業との戦い方も決まってくることになる。
販売促進を効果的に進めるためにも、中小企業も積極的に顧客分析を進めるべきであると思うのだが、何故か新規顧客の獲得にのみ目が行き既存顧客の分析には余り興味を示さないように思われる。売上が右肩上がりであった時代はいざ知らず、近年のように消費者行動が多様化している中にあっては、顧客の心理を分析しなければ何も始まらない。
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